はじめに
今回は平成25年春期問12の回答、解説です。平成25年春期問12はキャッシュメモリのヒット率についての問題です。キャッシュメモリのアクセス時間及び主記憶のアクセス時間からヒット率を算出する問題です。
問題を解くためのキーワード
- アクセス時間(実行アクセス時間)
- ヒット率
問題のカテゴリ
今回の問題カテゴリは以下の通りです。
分野 | 大分類 | 中分類 |
テクノロジ系 | コンピュータシステム | コンピュータ構成要素 |
問題
図に示す構成で,表に示すようにキャッシュメモリと主記憶のアクセス時間だけが異なり,ほかの条件は同じ2種類のCPU XとYがある。あるプログラムをCPU XとYでそれぞれ実行したところ,両者の処理時間が等しかった。このとき,キャッシュメモリのヒット率は幾らか。ここで,CPU処理以外の影響はないものとする
- ア:0.75
- イ:0.90
- ウ:0.95
- エ:0.96
解説
本問を解くためには、ヒット率を理解する必要があります。まずはヒット率について、解説します。
ヒット率
はじめに、ヒット率とはキャッシュメモリにアクセスするデータが存在する確率のことを指します。キャッシュメモリはCPUと主記憶装置のアクセス速度の違いをなくし、処理速度を上げるためのメモリです。キャッシュメモリ自体は大量のデータを保存しておくことが目的ではないので、容量も大きくはありません。必ずアクセスしたいデータがキャッシュメモリに入っているとは限りません。そこで便宜的にキャッシュメモリにアクセスするデータが存在する確率のことをヒット率と呼び、ヒット率をもとに処理時間を算出したりします。反対にキャッシュメモリにアクセスするデータが存在せず、主記憶装置にアクセスする確率は(1ーヒット率)で表すことができます。
処理時間の求め方
上記で説明したヒット率を用いて、キャッシュメモリおよび主記憶装置の平均的なアクセス時間は次のように求めることができます。
キャッシュメモリにアクセスする時間
キャッシュメモリのアクセス時間×ヒット率
主記憶装置にアクセスする時間
主記憶装置のアクセス時間×(1ーヒット率)
本文ではCPU XとYのキャッシュメモリのアクセス時間、主記憶装置のアクセス時間がわかっているため、ヒット率をHとした時、それぞれの処理時間は以下となります。
- CPU Xの処理時間=40×H+400×(1-H)
- CPU Yの処理時間=20×H+580×(1-H)
それぞれの処理時間が等しいことが問題からわかっているため、
40×H+400×(1-H)=20×H+580×(1-H)
400-360H=580-560H
200H=180
H=0.90
となります。
おわりに
今回は平成25年春期問12の回答、解説をしました。