はじめに
今回は、IT関連でとりあえず知っておきたい法律について、
わかりやすく説明していきます。
この記事はこんな方にオススメ!
- IT系の分野で活躍したいので、IT用語・知識を習得したい
- 社内システムエンジニアの仕事をしている
- 基本情報技術者、応用技術者試験等の資格を取りたい
IT関連の法律を紹介する前に
IT関連で知っておきたい法律を紹介する前に、まず知っておきたいことがあります。
会社を運営するにあたって、会社で定めたルール、
モラルを守ることをコンプライアンスといいます。
法律に触れる前に、会社にはコンプライアンスがあって成り立っていることを
前提としておさえておきましょう。

IT関連で知っておきたい法律
IT関連で知っておきたい法律は以下のとおりです。
- 著作権
- 産業財産権
- 法人著作権
- 労働基準法と労働者派遣法
- 不正アクセス禁止法
それぞれについて、詳しく説明していきます。
著作権

開発や製造、それぞれ多大な苦労、時間をかけて生み出されるものであり、
それが簡単にコピーされ、世の中に出回ることで開発者、製造者の
収益に影響を及ぼすようなことがあっては、立場がありません。
そこで、開発者、製造者の権利を守るために知的財産権という法律ができました。
知的財産権は大きく2つに分かれ、著作権はその一つにあたります。
著作権は開発、製造した時点で自動的に権利が発生します。
著作権をさらに細かく見ていくと、下記のような権利に分かれます。
権利名称 | 内容 |
著作人格権 | 著作者を守るための権利で、著作者の公表権、氏名表示権、 同一性保護権という権利を保護するものである。 著作人格権は譲渡したり、相続したりはできません。 |
著作財産権 | 著作物を守るための権利で、著作物の複製権、公衆送信権・公の伝達権、 譲渡権、貸与権という権利を保護するものである。 著作財産権はその一部又は全部を譲渡したり相続したりできます。 |
産業財産権

産業財産権は知的財産権を大きく分けた2つのうち、著作権ともう一方に
あたる権利です。こちらは著作権と違い、開発、製造しただけでは、自動的に
保護される事はなく、特許庁に登録することで、初めて権利が保護されます。
産業財産権をさらに細かく見ていくと、次のような権利があります。
権利名称 | 内容 |
特許権 | 発明者には一定期間、一定の条件のもとに独占的な権利を与えて 発明の保護を図る一方、その発明を公開して利用を図ることにより 新しい技術を人類共通の財産としていくことを定めて、 これにより技術の進歩を促進し、 産業の発達に寄与しようというものです。 |
実用新案権 | 「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」、いわゆる ものの改良、アイデアを保護するものです。 |
意匠権 | 新しく創作したデザイン等を創作者の財産として保護する一方、 その利用も図ることを定めて、これにより意匠の創作を奨励し、 産業の発達に寄与しようというものです。 |
商標権 | 商品名や商品のトレードマーク等の商標を保護するものです。 |
法人著作権
上記で著作権について、著作物は開発、製造された時に
自動的に権利が保護されるという説明をしてきましたが、
会社の業務で開発、製造したものが、一個人に権利がついていては、
会社としても一元的に管理ができず、様々な制約がついてしまい、
身動きできません。
そこで、以下の条件を満たす場合、
会社の業務で開発、製造したものは会社に
権利が帰属するというのが法人著作権です。
- 著作物の創作が、法人等の発意に基づくものであること
- 法人等の業務に従事する者が職務上作成するもの
- その法人の著作名義で公表するもの
- 契約、勤務規則その他に別段の定めがないこと
会社に権利が帰属するということを説明しましたが、
ここで、重要なポイント。その会社に派遣されている社員が
開発、製造した場合や請負契約において、別会社が開発、製造した場合、
帰属先はどうなるのでしょうか。
以下の表に示します。
状況 | 開発者 | 帰属先 | |
派遣社員の場合 | A社がA社で働いている派遣社員に開発を依頼 | 派遣社員 | A社 |
請負契約の場合 | A社がB社に請負契約で開発を依頼 | B社 | B社 |
請負の請負契約の場合 | A社がB社に請負契約で開発依頼後、 B社がC社に請負契約で開発依頼 | C社 | C社 |
労働基準法と労働者派遣法

働く人たちを保護するための法律が労働基準法です。
労働基準法では、最低賃金、残業賃金、労働時間、休憩、休暇といった
働く上での最低ラインを定め、それに違反した場合、
会社側にペナルティを与えるというものです。
一方で労働者派遣法は「必要な技術を持った労働者を企業に
派遣する事業に関しての法律」
というもので派遣社員を保護するための法律です。
不正アクセス禁止法

不正アクセス禁止法とは正式には「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」
といい、アクセス権限のないコンピューターネットワークに侵入したり、
不正にパスワードを取得したりすることなどを禁止する法律です。
不正アクセス禁止法は詳しく見ていくと5つに分かれます。
それぞれを下の表に示します。
罰則名称 | 内容 |
不正アクセス罪 | ネットワークを経由してアクセス制限されているコンピューターに対して、 コンピューターの正規の利用者である他人のIDやパスワードを無断で入力する なりすまし行為とコンピューターのセキュリティホールを攻撃して、 該当のコンピューターを利用可能にする行為について禁止する法律です。 |
不正取得罪 | 他人のパスワードを正当な理由なく取得することを禁止する法律です。 |
不正助長罪 | 他人のIDやパスワードなどの識別符号を無断で第三者に 提供する行為を禁止する法律です。 |
不正保管罪 | 他人のパスワードなどを不正に保存する行為を禁止する法律です。 |
不正入力要求罪 | フィッシングサイト構築や電子メールなどによるフィッシング行為等、 パスワードなどの情報を不正に入力させる行為を禁止する法律です。 |
おわりに
ITに関連する法律はこの記事で紹介した以外にも
製造物責任法(PL法)や刑法等、色々ありますが、
今回は、IT関連でとりあえず知っておきたい法律について
説明しました。
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